彼に「かわいいね」と言われたとき、反射的に「そんなことないよ」と返してしまう。本当は嬉しいのに、素直に「ありがとう」と言えない。
あとから「あのとき、ちゃんと受け取ればよかったな」と思うのに、また褒められると同じように否定してしまう。こういう経験がある女性は少なくありません。
褒め言葉を受け取れないのは、ただ照れているだけではないことがあります。頭では「ありがとう」と言えばいいと分かっている。でも、なぜか受け取る瞬間にブレーキがかかる。
この記事では、褒められると否定してしまう女性の心の奥で何が起きているのかを、恋愛相談の現場で見えてきたことをもとに整理していきます。
褒められると否定してしまう女性は多い
彼に褒められたとき、「ありがとう、嬉しい」と返せたらいい。これは多くの人が分かっていると思います。
でも、分かっていてもできないことがありますよね。
たとえば、彼が「今日の服、似合ってるね」と言ってくれた。本当は嬉しい。でも口から出るのは、「いや、これ適当に選んだだけだよ」という言葉。
彼が「かわいいね」と言ってくれた。それも本当は嬉しい。でも、「そんなことないよ。疲れてるし」と流してしまう。
女性側としては、悪気があるわけではありません。彼の言葉を否定したいわけではない。彼の好意を踏みにじりたいわけでもない。むしろ、ちゃんと受け取れる女性になりたい。
それでも、とっさに否定してしまう。ここが苦しいところです。
「ありがとう」と言えないのは、返し方を知らないからではない
褒め言葉を受け取れない悩みに対して、「素直にありがとうって言えばいいだけだよ」と言われることがあります。
もちろん、言葉としては間違っていません。ただ、それで解決するなら、そもそも悩んでいないと思います。
恋愛相談を聞いていると、「ありがとうと言えばいいのは分かっているんです」「でも、その場になるとできないんです」「嬉しいのに、なぜか否定してしまうんです」という方がかなり多いです。
これは、会話の返し方だけの問題ではありません。もっと奥に、受け取ることへの怖さがあることがあります。
ここを見ないまま「ありがとうと言いましょう」で終わらせると、本人はさらに苦しくなります。分かっているのにできない。できない自分を責める。また褒められたときに、余計に身構える。こうなってしまうんですね。
以前は、ちゃんと信じようとしたことがあった
以前、相談の中でこういう話がありました。
その女性は、今の彼に褒められても、どうしても素直に受け取れない方でした。
彼が「今日の服、似合ってるね」と言ってくれても、「いや、これ適当に選んだだけだよ」と返してしまう。彼が「かわいいね」と言ってくれても、「そんなことないよ。疲れてるし」と流してしまう。
でも、話を聞いていると、本当は嬉しいんです。嬉しくないわけではない。家に帰ってから、「あのとき、ちゃんとありがとうって言えばよかったな」と後悔している。
それなのに、次にまた褒められると、同じように否定してしまう。
話を深く聞いていくと、過去の恋愛が関係していました。
以前、すごく分かりやすく褒めてくれる男性がいたそうです。会うたびに、「かわいいね」「一緒にいると楽しい」「もっと会いたい」と言ってくれた。
最初は少し警戒していたけれど、何度も言われるうちに、彼女も少しずつ信じるようになりました。この人は、本当に私のことを好きなのかもしれない。そう思って、少しずつ心を開いた。
普段なら照れて流してしまうような言葉も、少しずつ受け取ってみた。彼に甘えることも、少しだけ許してみた。好きになってもいいのかもしれないと思い始めた。
でも、付き合ったあと、その男性の態度が変わっていきました。連絡は減った。会う約束も彼都合になった。前ほど大切にされている感じがなくなった。不安を伝えても「考えすぎだよ」と流された。
そのとき彼女の中に残ったのは、「やっぱり本気にしなければよかった」という感覚でした。
傷ついたのは、褒め言葉ではなく信じた自分
ここで大事なのは、彼女が傷ついたのは「褒められたこと」そのものではないということです。
本当に苦しかったのは、信じた自分が恥ずかしい、期待した自分が恥ずかしい、喜んだ自分があとから惨めに感じる、という部分でした。
恋愛で傷つくと、相手に裏切られた感覚だけが残るわけではありません。「あんな言葉を本気にした自分が恥ずかしい」という痛みが残ることがあります。
これ、結構大きいです。
ただ失恋しただけではなく、心を開いた自分、期待した自分、彼の言葉を信じようとした自分。その自分まで否定したくなってしまう。
だから次の恋で、別の男性がちゃんと褒めてくれても、反射的にブレーキがかかります。
「かわいいね」と言われても、「いやいや」と先に逃げる。「そういうところ好きだよ」と言われても、「また適当なこと言って」と茶化す。
これは、今の彼を傷つけたいからではありません。自分が傷つかないように、先に距離を取っているんです。
本気にしなければ、あとで裏切られた感じがしない。期待しなければ、落ち込まなくて済む。受け取らなければ、失ったときに痛くない。だから、褒め言葉を否定してしまう。
ここで起きているのは、ただの照れではなく、自分を守るための反応なんです。
今の彼ではなく、過去の傷に反応していることがある
褒め言葉を受け取れないとき、一度見てほしいことがあります。
私は今の彼の言葉を疑っているのか。それとも、過去に信じて傷ついた自分が反応しているのか。この違いです。
今の彼が「かわいいね」と言ってくれた。でも心の中では、過去の記憶が動いている。
また本気にして大丈夫かな。また私だけ期待したらどうしよう。またあとで恥ずかしい思いをするんじゃないかな。そうやって、今の彼の言葉を聞きながら、過去に傷ついた自分を守ろうとしている。
これが起きると、彼の言葉はそのまま入ってきません。
彼は褒めてくれている。でも、自分は受け取れていない。受け取れていないから、愛されている実感がたまらない。実感がたまらないから、また不安になる。
この流れに入ると、彼が愛情を出してくれていても、自分の中ではずっと満たされない状態になってしまいます。
だから、褒め言葉を受け取れない自分を責める前に、「私は何を怖がっているんだろう」と見てほしいんです。
素直じゃないからではないかもしれない。可愛げがないからではないかもしれない。ただ、もう一度傷つきたくなくて、先に自分を守っているだけかもしれない。そう見られるだけで、少し楽になります。
まずは、否定で終わらせない
では、どうすればいいのか。
いきなり完璧に受け取らなくて大丈夫です。無理に明るく、「ありがとう、嬉しい」と言わなくてもいいです。それができるなら、そもそも悩んでいないと思います。
最初は、否定で終わらせないこと。ここからで十分です。
たとえば、「照れるけど、嬉しい」「自分では分からないけど、そう言ってくれるの嬉しい」「そんなことないって言いそうになったけど、ありがとう」。
このくらいでいいです。
大事なのは、自信満々になることではありません。彼の言葉を百パーセント信じ切ることでもありません。
まずは、「彼はそう感じてくれたんだな」と、自分の中に少しだけ置いてみることです。
自分ではそう思えない。でも、彼はそう感じてくれた。まだ怖い。でも、少しだけ受け取ってみる。この小さな受け取りで十分です。
褒め言葉を受け取ることは、愛される練習でもある
褒め言葉を受け取ることは、彼を喜ばせるためだけではありません。
もちろん、彼の言葉を嬉しそうに受け取れると、彼も愛情表現を出しやすくなります。でも、それだけではありません。
あなた自身が、大切にされてもいい自分に少しずつ慣れていくための練習でもあります。
褒められた。否定せずに少し受け取れた。嬉しいと言っても、関係は壊れなかった。本気にしても、すぐ傷つくわけではなかった。
こういう経験が、少しずつ積み重なっていく。すると、自分の中に「受け取っても大丈夫だった」という記憶が増えていきます。
この記憶が増えるほど、次に褒められたときも、少しだけ受け取りやすくなります。
受け取る力は、自信が完璧についたあとに出てくるものではありません。小さく受け取る経験が、自信を育てることもあります。
まとめ。褒め言葉を受け取れない自分を責めなくていい
褒め言葉を受け取れない女性は、ただ返し方が下手なのではありません。本気で受け取ったあとに傷つくのが怖くて、先に否定していることがあります。
だからまずは、「私は何を怖がっているんだろう」と見てください。
今の彼の言葉が怖いのか。過去に信じて傷ついた自分が反応しているのか。褒められることそのものではなく、期待することが怖いのか。ここを分けて見ることが大切です。
そのうえで、否定で終わらせない。
「照れるけど、嬉しい」「そう言ってくれるの嬉しい」「そんなことないって言いそうになったけど、ありがとう」。このくらいからで大丈夫です。
褒め言葉を受け取ることは、小さなことに見えます。でも恋愛では、その小さな受け取り方が、二人の関係の育ち方を変えることがあります。
今の彼との関係を、自分一人で考えていると、どうしても不安なほうに寄ってしまう方は、恋愛相談の詳細をご確認ください。
彼の言葉を信じていいのか。自分が過去の傷に反応しているのか。今の関係でどう受け取っていけばいいのか。一緒に整理していければと思います。